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ニタのキャリブレーションを行う理由は何でしょうか?

液晶、CRT、ノートパソコン、プロジェクタ等コンピュータに接続されて画像表示を行うためにいろんなディスプレーモニタが使われています。しかし、新しい・古い、方式に関わらず1台として同じ色を表示するモニタは存在しないと言っても過言ではありません。モニタが表示する色は思っている以上に不正確で、すべてのモニタには個体差があります。また、モニタは寿命が近づくと急激に特性が劣化したりします。

モニタはコンピュータシステムの中で、撮影した画像や作成したグラフィックスを確認・編集する重要な役割を持っています。モニタの表示色が異なるとそこで編集された画像データの値は意図したものと異なってしまいます。その結果、印刷工程に渡すと異なった色がプリントされたりまた、共同作業をグループもしくは分業体制で進めている場合、使用されるモニタ毎に違う画像データが表示されるという不都合が起き、画像データの統一ができません。

画像システムのビューワであるモニタを最初にキャリブレーションする理由はここにあります。

また、同じスタジオ内で使用しているすべてのモニタはできる限り同じ色にマッチングしなければなりません。

あきらめていたモニタがキャリブレーションにより、正確に色補正されたと言う例が多数存在します。

モニタをキャリブレーションする仕組みはどのようになっていますか?

コンピュータを使い画像を編集することが当たり前になってくると、多くの方がモニタの表示色の不正確さに悩んできました。しかし、普通のコンピュータは、自分のモニタがどんな色を出しているのかを知る方法を持っていません。

Apple社が主導し1993年にMicrosoft社, HP社や他の印刷関連製品のメーカが参加してInternational Color Consortiumが設立され、ICCプロファイルが標準化されました。ICCプロファイルはモニタ、プリンタの個体の特性を測定し、分析しそして作成される世界標準の規定です。この結果、作成されたモニタ個体のICCプロファイルをWindowsやMac OSの「色管理」のフォルダに保存することにより、モニタが常に正確な色を再現することが可能になりました。

ICCプロファイルは、コンピュータに接続されているモニタの特性をSpyder測色センサーが測定し、ソフトウエアが解析(分析)して作成されます。モニタは1台として同じ色を再現しません。カラーマネジメントはこのようにモニタハードウエアが同じ色を再現しないことを前提として考えられた世界共通の斬新な色管理の考え方です。ユーザが使用するモニタ1台毎の色再現の特性を測定、規定色に整えるファイルをOSに伝えることにより、OSが色補正計算するための処方箋としてICCプロファイルが利用されます。モニタはシステムのビューワとして機能するデバイスですから、OSが作成されたICCプロファイルを直接管理します。その結果、モニタの色表示を常に正確に保つこと(キャリブレーション)ができます。普通のコンピュータ、OSは既にこのようなカラーマネジメントの仕組みを予め持っていることがお分かりいただけと思います。

このモニタ個体毎のプロファイルがない場合、画像表示はモニタというデバイスが元々持っている色のハードの再現能力に依存するため、問題の解決になりません。Spyderのようなキャリブレーション・プロファイル作成ツールを備えることにより、コンピュータに接続されているモニタが実際どんな色を出しているかを知ることができ、カラーマネジメント(モニタの色校正)が可能になります。

(* カラーマネジメントシステム, CMSは、コンピュータに接続されるモニタやプリンタ等のデバイスのどれもが同じ色を再現するために世界的に標準化されたシステムです。WindowsやMacOSさらに多くの画像編集アプリケーションは標準的にこのシステムを組込んでいます。ユーザはSpyderのようなツールを用いてデバイス毎にICCプロファイルを作成し、CMSにつなげることによりデバイスをカラーマネジメントすることができます。モニタはシステムのビューワであるため、作成されたICCプロファイルをもとにOSが直接色管理を行います。また、プリンタは編集アプリケーションから画像を出力する際に作成されたプリンタプロファイルを適用し印刷します。)

 

モニタをキャリブレーションする方法をもう少し詳しく説明してください。

Spyderのようにキャリブレーションを行いICCプロファイルを作成するツールは、測色センサーと解析ソフトウエアから構成されます。モニタは、白色点(色温度)、ガンマ(諧調性を表すカーブ)と白輝度の3つの要素を「目標値もしくはターゲット」として設定し色を調えることにより、カラーバランスが正しく設定され正確な色を表示します。キャリブレーションは、ソフトウエアから予め理想的な色データ(R・G・B+グレイの色パッチ)をモニタに表示し、それらをセンサーが計測してソフトウエアが解析し、モニタの色温度、ガンマと白輝度を固体毎に調えるため、ICCプロファイルを作成します。

作成されたプロファイルはOSの色管理のフォルダに保存され、同時にグラフィックスボードのLUT(ルックアップテーブル)にガンマ補正値を格納し、モニタに表示出力する際に色の階調性を調えます。

モニタの動作(カラーバランス)を調えることをキャリブレーションと言い、作成されたプロファイルはさらに色域変換(ガモット・マッピンッグ)に使われます。この色域変換はモニタ固有の色域が小さい場合でも、広い色域の色データをモニタの色域に置換えることができるカラーマネジメントシステムの良く考えられた仕組みです。ユーザはICCプロファイルを作成し、保存するだけでこれらのことがOSの中で自動的に行われます。

モニタキャリブレーションの精度は、測色センサーの精度が決定します。最新のSpyder3センサーは、環境光センサーを内蔵し、Datacolorの特許である7個のフィルター・ディテクタからなる業界最高の精度を持つセンサーです。

Spyder3測色センサーはSpyder2や競合品に比べアパーチュアの口径が大きいと聞きましたが、メリットは何でしょうか?

写真家の方はレンズの口径が大きいと光量が増えノイズが減り結果として、画質の向上が期待できることを皆様ご存知です。モニタキャリブレータの測色センサーも同じことが言えます。アパーチュアの口径が広がったことにより、Spyder3センサーはモニタスクリーンのより広い範囲を測定し、さらに多くの光量をセンサー内部のディテクタに供給することができます。

Spyderセンサーは、「RGBがそれぞれ独立した狭いピンホールから測色する方式」とは異なり、米国特許を持つ7個のディテクタとフィルタの組み合わせによるセンサーエンジンを特徴としています。口径を大きくし、ハニカム構造のプロテクターにより受光角度を制御し、Spyder2や他社製品に比べさらに高い精度で安定した測色を行うことができます。

Spyder3センサーは、2年間の無償保障期間が設定されています。

使用するモニタによってキャリブレーションのプロセスが変りますか?

モニタは多くの場合、メーカ・機種によって調整方法は異なりますが、色調整のためのコントロールを持っています。キャリブレーションのプロセスの中で測色を行いながらモニタハードウエアの色調整を併用しキャリブレーションを実施すると、良い結果を得ることができます。具体的には、輝度調整とRGBゲインバランス調整を併用することをSpyderに伝えキャリブレーションを開始します。

Apple社のCinema Displayやノートパソコンの液晶モニタは明るさの調整しかできませんが、最初にSpyderに伝えることにより、最適なキャリブレーションを行います。

モニタのマニュアルに記載されている調整方法を予めお読みください。

モニタRGBゲインバランス調整を併用する方法は具体的にどのようにおこないますか?

モニタのRGBゲインバランス調整は、キャリブレーションの最初の工程で行います。センサーを測色ウィンドーの設定位置に置いて開始すると、RGBの各カラーパッチが表示されモニタの現在の色温度と白輝度の測定を行います。測定結果であるRGB各色のゲイン(コントラスト)を表す棒グラフとケルビン値と色輝度値が数値として表示されます。次にこのバランスを調えるために、モニタのOn-Screen-Display (OSD)を表示しその中から「RGB」と書かれたアイコン(これはモニタメーカや機種によって表現が異なりますので、モニタのマニュアルを読んで調整箇所を熟知してください)を選択し、さらにコントラストもしくはゲインというアイコンに入ると、RGBの各輝度値が%表示されています。表示されている棒グラフを目安にして、モニタのRGBの各ゲインを調整し、「更新」ボタンを押すと調整後の結果が表示されます。これを繰り返し棒グラフの頭が揃うことを確認します。同時にケルビン値がターゲット設定で設定した値(例6500k)になるように微調整を行います。同時に輝度値も例えば120カンデラに設定したい場合、現在の輝度値を目安にRGBの値すべてを上か下に同時に調整し、「更新」ボタンによりセンサーで測定し、合わせこみます。(Spyder3Eliteはこの後の工程で輝度モードを「測定」にすると、「黒・白輝度」をカンデラ値で指定し輝度設定することができます)。Spyder3Proの輝度モードは目視のみになりますので、上の方法で合わし込みます。

注意)OSDウィンドーは通常モニタの中央に表示されます。この場所はキャリブレーションのセンサーの設置場所と重なるため、OSDを事前に左下等に移動して測色の妨げにならないようにしておきます。

モニタのRGBゲインバランス調整と白輝度の調整はキャリブレーションに際、モニタを事前に最良の状態にしておく準備工程です。あらかじめモニタハードウエアを事前調整しておくことにより、さらに精度の高いキャリブレーション結果を得ることができます。

モニタの色は環境光によって影響を受けますか?

影響を受けます。そのためSpyder3はセンサーに環境光センサーを組込み室内の照明を測定することができます。この測定により、環境光にマッチしたキャリブレーションターゲットを設定することができます。測定した環境光は次の5段階に分類され、その推奨値を使用しモニタのターゲット設定を変更できます。逆にもし、制作する画像データを安定させるため白輝度値と白色点に(社内)規定がある場合、環境光測定を行いこの規定に合うように環境照明を変更します。

プリンタとモニタのカラーマッチングを行う際この環境光測定は重要になります。ご承知の通り、人間の目は環境光から反射される光を通して印刷物の色を認識します。一方、モニタはコンピュータから出力される画像データに従ってスクリーンを発光します。照明が暗い環境では、印刷物が暗くモニタが明るく見え、明るい環境では逆の現象が起きます。従って、予め環境光を測定してモニタの白色点(色温度)と輝度を環境に合わせておくことにより同じ環境光で見える紙の白と合わせることができ、両者のマッチングをスムースに行うことができます。

作業環境の照明は、太陽光の影響を避け、部屋全体を暗めに設定します。印刷物を観察するために5000ケルビンの評価用蛍光灯を入れたスタンドを設けその直下で観察します。(専用のライトボックスがありますが高価です)

そしてこの作業環境全体をSpyder3/4センサーの環境光センサーで測定し、その推奨値をターゲットにしてモニタをキャリブレーションします。

それと同時に必要不可欠なことはプリンタもキャリブレーションし、使用する用紙に合ったカスタムICCプロファイルを作成することです。メーカから提供される標準のプリンタプロファイルは限られた用紙にのみプロファイルが対応しており、またプリンタハードウエアの固体差を吸収することはできません。Datacolor社のSpyderPrintは、分光色彩計センサーとソフトウエアから構成されるプリンタ用のICCプロファイルを作成するツールです。好みの用紙に合ったカスタムICCプルファイルを簡単に作成し、長期間に渡って同じ色品質で印刷することができます。

その結果これまでユーザの大きな悩みであった、試刷りのために多くの時間や労力、インク・用紙を無駄にする工程を省くことができます。新しいプリンタに買い換えることで色の問題は解決しません。

モニタプロファイル作成時のターゲット設定について詳しく説明してください。

デジタル一眼レフカメラで撮影する際にホワイトバランスを調整します。それを観察するモニタも同様にホワイトバランスとカラーバランスの調整が必要になります。キャリブレーションはモニタの白色点(色温度)、ガンマカーブ、白・黒輝度、グレイバランスを調えることです。Spyderはキャリブレーション・プロセスに入る前にこれらのターゲット項目を設定し、編集の目的に合わせてモニタのカラーキャリブレーションを行うことができます。

(*注意:Spyderの製品モデルによって、このターゲット設定の範囲が異なります。下記モデル別機能参照)

ガンマカーブ:モニタに入力された赤・緑・青各8ビットの画像データが、シャドー部から中間調そしてハイライト部までどんな傾き(諧調)で表示(出力)されているかを表すカーブです。1.8は印刷に適しているカーブと言われております。2.2はそれよりさらにシャドー部から中間調の傾きが緩やかになった(軟調)曲線です。写真画像の編集にはガンマ2.2が使われます。

色温度:モニタに表示される「白」の色味を表します。5000ケルビンは暖色系で黄色味がかっています。6500ケルビンは午後2時位の太陽のピュアな白です。色温度が高くなると青味がかった寒色系の白になります。写真編集では6500ケルビンを使用します。

白・黒輝度:写真画像編集では白輝度値を一般的に125cd/m2 (カンデラ)に設定して調整します。Spyder3Eliteは輝度設定を「測定モード」にするとこの白輝度設定を自由に変更できます。この白輝度設定は複数のモニタをマッチングさせるために重要になります。Spyder3Eliteは「色彩計」という測定ツールを持っており、キャリブレーションした複数のモニタの白輝度と色温度をすべて測定し、すべてのモニタの白輝度値と色温度のターゲット値を再設定した後、再度キャリブレーションを行い合わせこむことができます。そのために、Spyder3Eliteのターゲット設定は非常に細かく設定できるようになっております。

以上の項目を設定すると、キャリブレーションが始まりSpyderソフトウエアは赤・緑・青そしてグレイの各16階調、合計64種の色パッチを順次モニタに表示しスクリーンを発光させます。スクリーン表面に取り付けられたセンサーがそれらを順番に測定しソフトに伝え解析します。先に述べたようにプロセス中に必要なら、モニタハードウエアの調整、輝度や白色点を合わせるRGBゲインバランスの調整も併用します。その結果上の項目に基づいてモニタのホワイトとカラーバランスが調えられ、モニタはキャリブレーションされます。そしてICCプロファイルが作成されOSに保存され、次のキャリブレーションまで有効に働きます。ターゲット設定に当たっては、環境光との関連にも注意してください。

「Native」という色温度のターゲット選択がありますが、どんな場合に使用しますか?

液晶モニタは、色をつくる液晶層の背面にある光源であるバックライトが劣化してモニタのカラーバランスバランスやホワイトバランスが崩れます。劣化が進んだモニタは、色温度のターゲット選択を6500ケルビンに設定してもバックライトの劣化のために色温度が設定値に上がってこない場合があります。このような場合、使用しているモニタが持つ最大の色温度を「ターゲット値」として選び、キャリブレーションすることにより、良好な色の諧調性を再現することができます。このような色温度のターゲット選択を「Native」と言います。

劣化したモニタを無理に色温度6500Kに設定してキャリブレーションし、トーンジャンプが起こることを避けることができます。

ノートパソコンの液晶モニタをキャリブレーションすることは可能ですか?

可能です。ノートパソコンの液晶モニタは「明るさ」の調整しかできません。そして一般的には、使用年数が1年を越えたノートパソコンのモニタは、劣化が早いためターゲットの色温度設定をNativeにしてキャリブレーションをすると、階調特性の良い結果が得られます。これはモニタの色温度がバックライトの劣化のため、指定した色温度例えば6500ケルビンに上がらないためです。Spyder4Eliteは色彩計ツールにより、モニタの素の色温度を予め測定することができます。

Spyder4モニタキャリブレータのモデル別の機能の違いを説明してください。

詳細は弊社ウエブにある比較表を参照願います。

ここにも説明されているように、Spyder4express:ターゲット選択はガンマが2.2固定であり、色温度は6500ケルビンかNativeの選択だけの入門版モデル(注:DTP/組版の用途や複数モニタマッチング、プリンタとのマッチングをするため上記以外のキャリブレーションターゲットが必要な場合は、他のモデルを選定します)

Spyder4PRO:ガンマと色温度の選択を16種類のプリセットから選択できます。また、環境光測定やモニタのRGBゲインを調整し、Spyderで測定した後バランスを調え色温度を最適値に設定することができます

(例えば複数モニタ間の色マッチングやプリンタとのマッチングのため、キャリブレーション後の白色点・白輝度の測定や環境光測定を反映し、任意の手動設定ターゲットを用いて再キャリブレーションを行う場合は、Spyder4Eliteを選定します)

Spyder4Elite:ガンマ、色温度や白輝度を任意の値に設定できます。環境光測定やRGBゲインバランス調整による色温度と白輝度の最適化、さらに各種の強力な測定ツールを備えております

Spyder4expressやSpyder4Proが単一のモニタをキャリブレーションするツールであるのに対して、Spyder4Eliteは、下記の強力な測定機能により複数のモニタのカラーマッチングを可能にします。

特に「色彩計」ツールは複数モニタのマッチングに欠かせない機能です。このツールはキャリブレーションが終わったすべてのモニタの白輝度や色温度を測定することができ、それらを比較することにより、ターゲット値に達していないモニタを、再度プリセット以外の手動・任意設定で設定しなおし、再キャリブレーションします。これをそれぞれのモニタ毎に繰り返すことによりマッチングしたい複数モニタの色を近づけることができます。

「曲線」機能はキャリブレーション前のガンマ(色の諧調性)や、キャリブレーション後のガンマカーブ、そして目標とするガンマ値(例2.2)や、キャリブレーションによる補正カーブを選択表示でき、キャリブレーション前後の比較をカーブで簡単に知ることができます。

キャリブレーションの最後の画面はSpyderProofと言い、プロの写真家が撮影した4種類の評価用写真画像を使い、キャリブレーション前後でモニタの色がどう補正されたかを比較することができます。このガンマカーブウィンドーを横に置きながらサンプル画像を見ることにより、キャリブレーションによりモニタの色の校正が実際どう行われたかを具体的に知ることできます。